J1昇格後、初めて「降格」という辛酸をなめた大宮。試合後、菊地の挨拶を聞き、再びJ1の地に返り咲くことを決意した人は多いと思います。
選手は毎年入れ変わったものの強靭なメンタリティーと彼らの頑張りのおかげで、何とかJ1の舞台にしがみついてきました。
大宮の伝統と功績を今シーズンも継続できなかったのは、とにかく残念でなりません。
大宮スタイルの脱却か?それとも伝統の守備重視で行くのか?
たとえJ2に落ちても大宮に対する愛情や応援する気持ちは何ひとつ変わりません。
しかし、フロントの体制については、どうしても疑問が湧いてしまいます。
昨年に引き続き、鈴木社長へブーイングが起きたのも、フロントへ不満を抱く人が多かったことの証です。
練習場の新設、ユースチームの強化、地域連携、サポーターの増加など、確かに目に見える形で、大宮は進化を遂げています。これらは、フロントスタッフの懸命な努力の成果です。
しかし、最も重要であるトップチームの結果が伴いません。
J1昇格後、目指してきたのはアグレッシブなサッカー。守備重視からの脱却を追求しましたが、結果はご存知のとおりです。
攻撃的サッカーを志向した樋口監督時代、AGGRESSIVE SHIFT をスローガンとした張外龍監督時代、パスサッカーを目指した鈴木淳監督時代…。
J1で戦ってきた最近の戦いぶりを振り返ると、大宮サポーターが歓喜したのは守備を重視したベルデニック時代の数ヶ月間のみ。それ以外は万年残留争いばかりです。
渋谷監督は何とかチームを立て直しましたが、今シーズン後半、柏戦や名古屋戦はアグレッシブな戦い方をして勝ち点を落としています。何とも皮肉です。
フォルランの発言にうかがい知る降格チームの体質
大宮がこれを機に変わることができなければ、この「約束の地」に、一年で戻るのは難しいはずです。
今季、同じく降格してしまったC大阪のフォルランは、こんなことを語ったそうです。
土曜日に降格が決まり、次の日の日曜日の練習の時のことだ。
(省略)
客席にはファンがたくさんいて、何ひとつ変わってなかった。君は僕が日本に来たとき、たくさんファンがいたのを見ただろう?あのまんまだ。降格が決まっても、何ひとつ変わらない。
(省略)
これにはいい面もあれば悪い面もあるけれど、どういうことかというと、負けることに対するプレッシャーがなければ、降格したということを身に沁みて感じることができないんだ。勝つ必要性を感じていない。それは、プレッシャーをかけてくれる人がいないからだ。そういう人がいてしかるべきなのに。
ちなみに、フォルランが「日本人は冷たい」と言ったと報じられていましたが、真意はそうではないようです。この件についてはこちらをご覧ください。
大宮の未来はフロントに委ねられている
私たちは、今、大きな節目に直面しています。
プレーするのは選手ですが、クラブの未来を決めるのはフロントです。大宮のすべては、彼らの手に委ねられています。
J1に1年で昇格できるのか、それとも千葉のように何年も苦しむのか。
すべてはフロントにかかっています。
公式サイトにアップされた大宮アルディージャを支えてくださる皆さまへを読む限りでは、納得のいく答えは見いだせません。
フロントが大宮の未来をどう見据えているのか。来季の体制をどのように敷くのか、戦い方をどうするのか。公式アナウンスがリリースされる日が、来シーズンのXデーになるはずです。
あとがき
現場の人にしかわからないことがあります。つまり、我々には想像でしか事の推移を見守ることしかできません。
だからこそ、クラブから明確かつ納得がいく説明がほしいところです。
J2は、そんなに甘くありません。