2014年シーズン。残念ながらJ2降格となってしまった我らの大宮。チームの歴史において、決して忘れてはいけない大きな大きな節目となりました。
そんな今シーズンを関係者やサッカー解説者の言葉とともに振り返ってみました。
明らかな準備不足。チームは開幕前から迷走していた
まずは開幕が迫っていた2014.2.25。朝日新聞に折り込まれていたassistには大熊前監督のインタビューが掲載されていました。彼の言葉から、ただならぬ不安を感じていたのが開幕前でした。
一週間前からチームの方向性(戦術)について話し始めた。
開幕を目前にしてチーム・戦術の方向性が固まっていないことがあるなんて、ちょっと信じられませんでした。
しかし、スカパー!では解説者の秋田豊氏が、大宮の降格を予想。キャンプを取材した彼の目には大宮の危機的状況を捉えていたのです。
(合宿を見た限りでは)戦術的なところまではまだ行っていない。
どういうサッカーをしたいのかというのが、選手たち自体がまだ見えていないのでちょっと不安だ。
監督が変わると、頭がフリーズしてしまう。頭と体がうまく連動できない状態になりやすい。
参考「名波浩氏、秋田豊氏、今シーズンの大宮を降格予想」
いずれにしても、チームコンセプトを失っていたことが降格した大きな原因となってしまいました。
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助っ人外人、ラドンチッチの大誤算
我々の予想に反して戦力にならなかったのが、清水でそこそこ結果を残していたラドンチッチでした。
第3節を終了した時点で、解説者の金田喜稔氏に「ラドンチッチはチームのブレーキ!」と言わせたぐらいです。チームにとっても大誤算だったはず。少なくともノヴァコヴィッチ同様の戦力を想定していた私たちには考えられない状況だったと言わざるを得ません。
今井智基、日本代表候補に選出
そんな暗いムードを一蹴してくれたのが、今井智基の日本代表候補選出のニュースでした。今井の縦への推進力は大宮にはなかった攻撃力で我々を魅了してくれました。
参考わかっちゃいるけど昨日の今日で嬉しいから何度でも言おう。今井が日本代表候補に選ばれたー
しかし、世の中そんなに甘くはありません。今井の弱点を冷静に指摘していたのは、今シーズン京都で采配をふるった川勝良一氏でした。
今井がズラタンに預けた時に前に走るのは悪くないけど、前にそのまま走るとディフェンスの影にそのまま入るので、ズラタンのパスを出すところがなくなる。そういうところも覚えていかないと…。
運動量は高いけれど半分ぐらいが無駄になるんだったらもったいない。
来シーズン、戦いのステージがJ2となってしまいましたが、再び代表入りを目指してほしいと願っています。もちろん、今井が大宮に残ってくれれば…の話ですが。
ビルドアップに苦しみ、チームがバラバラに
序盤の大宮はとにかくビルドアップができず、マイボールにしてもパスの出しどころが少なく、横パスとバックパスばかり。それもそのはずです。4月になってビルドアップの練習を開始したのですから致し方ありません。
ナビスコカップ予選Bグループ第3節大宮×柏戦の解説をした元日本代表の田中誠氏は、次のように指摘していました。
ボールを奪った後のビルドアップをマイボールにして、相手陣地に攻め込むということができていない。
加入選手の中でも目玉であった家長選手が孤立してしまうシーンに何度失望したことでしょう。
ラドンチッチも復調することなく、開幕からの不調は相変わらず。カルニーニョスの縦パスに誰も反応しない。渡邉大剛のバックパスにスタジアムからブーイング…なんてことも。誰が見てもチーム状態が悪いのは明らかでした。
北野、金澤、ズラタンなど、主力メンバーのケガも不運でした。まさに泣きっ面に蜂です。
開幕前に大宮の降格を予想した秋田豊氏からは大宮に責任感をもって闘う選手はいる?
なんて言われる始末。
縦への突破力が魅力だった今井をCBに起用して迷走し始めたのもこの頃。そのまま前半戦を終え、嬬恋合宿に突入してしまうのでした。
参考えっ、ナニ?ビルドアップの練習を初めて実施!?
参考大宮の課題はやはりビルドアップだ
参考2014年J1第9節甲府戦:小林慶行氏の大宮解説まとめ
参考小林慶行氏「チームの意思統一ができていない」と大宮を心配。
参考秋田豊氏:大宮に責任感をもって闘う選手はいる?
後半戦の幕開けは、救世主ムルジャに光を見出す
W杯が終わり後半戦がスタート。チームはセルビア代表ムルジャを獲得しました。
彼のデビュー戦となった第16節のホーム広島戦では、鮮烈的なデビューを飾り、大宮サポを歓喜させてくれました。0-3で折り返した前半。降り注ぐ雨も相まって、大敗を覚悟してしまったこの試合でしたが、後半ムルジャの2点で追いつく怒涛の攻撃は、まさに圧巻!
サッカー解説者の水沼貴史氏は、ムルジャのプレーに対し、手放しで絶賛しています。
すごい!
短い振り幅で、あれだけのシュートを打てる人はなかなかいない。コンパクトでスゴいボールを蹴れる。びっくりした。ハーフタイムではこの展開は予想できなかった。それにしても、すごいストライカーがやって来ましたよ!
守備崩壊。怒り爆発でチームバスを囲む事件勃発
大熊采配では守備の改善が一向にされずイライラがつのります。特にストレスが爆発したのは、絶対に落としてはいけない徳島相手に0-3で完敗したあの試合です。
サッカー解説者、羽中田昌氏も大宮の守備について、こう指摘しています。
守備に関しては、今日の敗戦をどのように見て、どこを修正すべきか。
そして、何を強化していくべきか。
もう一度、考えなおす必要があるのかもしれない。
大宮サポーターの絶対的味方であったOleアルディージャMCの山田泰三氏も、自身のブログでしびれを切らし、とうとうこんなコメントを発表していました。
あの守備では今後、勝ち点を積み上げていくのは難しいでしょう
こうしたチーム状況に大宮サポーターの怒りがついに爆発。本来、温厚な大宮サポーターも、いい加減しびれを切らし、チームバスを取り囲む事件が勃発しました。
チームを引っ張るムードメーカー、DF村上和弘が仙台へ移籍したのもこの頃。後にフロントに怒りをぶちまけてチームを去っていたなんて…。
参考報道されなかった村上和弘、怒りの仙台移籍「俺はおまえらのオモチャじゃねえ」
先日、仙台への完全移籍が公式サイトで発表されていましたが、本人からのコメントすら出ていなかったのは、こうした一件があったからでしょうか。
何れにしても、当時、チームは崩壊寸前だったに違いありません。
今になって思えば、あの時が大熊監督を解任する適切なタイミングだったのかもしれません。
大熊采配に降格を覚悟
徳島戦以降、大熊采配に対する不信感はさらに増大していきました。解説陣たちの大宮へのコメントも厳しさを増していきます。
金田喜稔氏「継続してやり切るチカラと気持ちが大宮には足りない」
元大宮MF佐藤悠介氏「鳥栖のほうがチームとして…」
この頃、輝きだした泉澤が唯一の希望でもありました。左サイドをドリブルで翻弄する彼の勇姿に、元日本代表林健太郎氏も絶賛。
レオシルバを一瞬で振り切ったところが、僕、ちょっとびっくりしましたね
しかし体力が続かないとの理由で、泉澤はいつも途中交代に。すでに不信感が積もっていた大熊采配に、多くの方がもどかしさを感じていたはずです。
参考元日本代表 林健太郎氏「(泉澤について)僕、ちょっとびっくりしました」
遅かった大熊監督解任。そして渋谷監督就任で息を吹き返す
ようやく大熊采配に終止符が打たれ、チームをよく知る渋谷コーチが監督就任します。
守備に定評がある渋谷監督は「一戦必勝」という分かりやすいチームコンセプトを掲げ、チーム全体を奮い立たせました。
就任から天皇杯を含め6試合で5勝1敗とし、これぞ大宮の残留力と言わんばかりのチカラを、まざまざと見せつけてくれました。
大宮のご意見番であるサッカージャーナリストの戸塚啓氏も
たとえビハインドを背負っても大丈夫だ!
俺達は勝つことができるんだという気持ちを持つことができる。
とコメント。
第23節鹿島戦を解説した羽中田昌氏は泉澤の躍進をたたえていました。
泉澤が効いていたと思いますよね。
この存在が、いろいろな意味で鹿島に重圧、プレッシャーをかけていたんじゃないかなと思います。
参考大宮のご意見番、戸塚啓氏「大丈夫だ!俺達は勝つことができる!」
渋谷監督の謙虚な人柄も伴って、一瞬にして大宮サポーターの心を掴んだのでした。
奇跡は続かず。無念の降格で涙
しかし、現実は厳しいものでした。対戦チームのスカウティングも進んだのでしょう。渋谷大宮の勢いはそう長く続きませんでした。
点を獲りに前がかりになっていった大宮ディフェンス陣の背後を対戦チームが狙っていました。特に、第32節のホーム柏戦での敗戦は痛かったです。
元大宮のディフェンダー波戸康広氏は、大宮DF陣の寄せの甘さを指摘。
(レアンドロ選手の)ファーストコントロールのときにもっとディフェンダー(高橋)を寄せて相手の選択肢がない状況に持っていかないとやられてしまいますよね。
ですが、これは渋谷監督の采配が攻め急いだことにも起因していた模様。監督としての経験不足が露呈された瞬間でした。
まとめ
失敗は誰にだってあります。完璧な人間なんていません。
大宮はJ2に降格してしまいましたが、また出直せばいいんです。人の痛みを味わった私たちだからこそ、もっと成長できるんだとポジティブに捉えたいです。
さて、今年一年、当ブログを読んでくださってありがとうございました。時には大宮に厳しい意見を書いたこともありましたが、チームを応援する気持ちに何も変わりはありません。
この記事が年内最後の更新になるかもしれません。パパママサッカーなんて、訳のわからないタイトルのブログを読んでくださったあなたに心から感謝をして締めくくりたいと思います。
最後に、渋谷監督の名言で、今年一年を締めくくります。また、来年。ブログでお会いしましょう♪大宮サポーターの皆さんが、幸せな新年を迎えられますようにお祈りしております。それでは良いお年を。
今回、降格というカタチで、失敗をしています。痛い目にあっています。でも、この痛い目にあった人は必ず強くなると私自身は思っています。
辛い時も苦しい時も、本当に熱く力強い応援をしていただいたことが、我々の力になっています。
来季、どのようなカタチになるのかはわかりませんけれど、まだまだ我々クラブは続きますので、応援していただいて共に戦ってもらえればと思います。本当にありがとうございました。