なんともお粗末な試合だった。
大金星をあげたダービー後の初試合。しかもJリーグとは別のルヴァンカップ。この敗戦により大きな痛手を被るわけではない。だからだろうか。試合後、ゴール裏からはブーイングは一切なかった。
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We are Omiya!のコールが予定調和のように悲しく響く。これを単なる杞憂だったと笑える日がやってくるのだろうか。
2017 ルヴァンカップ グループステージ 第4節 大宮1−2仙台
低迷する大宮を払拭するために必要なのは、闘志あふれるプレーだ。ダービーで見せてくれたあの熱い気持ちを継続することが、この試合の至上命題だと信じていた。
この試合を重要な一戦だと捉えていたサポーターがどれだけいたのだろう。敗戦という結果は受け入れるしかない。だが、戦う姿勢が見られないゲーム内容を素直に咀嚼するのは難しい。
悪いながらも大宮の良かった点
もちろん、悪いことばかりではない。良いところもあった。
試合の入り方は決して悪くなかったし、ムルジャや大前のFW陣も前からプレッシャーをかけていた。何より、常にスペースに抜け出そうとランニングを繰り返していた。
ライン際までボールを献身的に追う奥井にも闘志が感じられた。疲れを知らないと思えるほどの走力と体力。クロスは合わなかったが、彼のランニングが周囲の選手たちを鼓舞し続けたことは間違いない。
2点目の失点には思いっきり絡んでしまったが大屋のCBは意外性があり楽しめた。ピッチでプレーしている選手たちはどのように感じたか分からないが、前線まであがりゴールを匂わすプレーも魅せた。高橋祥平を思い出した人も多かっただろう。
決して良い出来ではなかったがペチュニクへのアシストを決めた河面も少しは自信につながっただろう。ゴールシーンはラッキーパンチにも見えたが、そうではなかった。ペチュニクの復帰後いきなり結果出したことは明るい材料だと思いたい。
攻撃復活の感触残すも敗戦、公式戦連勝ならず #ardija #挑む #Jリーグ #ルヴァンカップ #ylc大宮_仙台 #6河面 pic.twitter.com/R3YmgSvWRT
— 大宮アルディージャ 公式 (@Ardija_Official) 2017年5月3日
ダービーで戦った岩上はコンディションが良さそうに思えた。やはり彼が出てくると盛り上がる。持ち前のロングスローは仙台のDF陣に脅威を与えた。結果には繋がらなかったが、彼こそ大宮には必要不可欠の存在だといえる。
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中盤と前線の課題
しかし落胆させられるシーンのほうが確実に多かった。前線と中盤が意思疎通が噛み合わない。特に大前が気の毒でならない。
スペースへ走り出していても、ボールを保持した中盤の選手は消極的な配球ばかり。パスを出すスピードが明らかにワンテンポ遅いので、相手にパスコースをカンタンに読まれ結局ボールを奪われてしまう。
大前は走っているのに体力だけ消耗していく悪循環。挙句の果てにケガでゲームを退く始末。まさに泣きっ面に蜂。チームの戦術にはまらない彼の現状を考えると、こちらも辛い。悔しさのあまり拳を握りしめていることだろう。
まずはケガの具合が軽傷であることを願わずにはいられない。10番を背負っているだけに重圧も大きいだろうが、焦らずに虎視眈々とゴールを狙ってほしい。大前なら絶対にできる。

試合前の一コマ。播戸と黒川のリフティングに癒やされたが
ボールの出し手であるMF大山には、もうひとつギアを上げて前線とのコンビネーションを磨いてほしい。ボール奪取までは持ち味を出せている彼にとって、ここからが正念場だ。潜在能力が高い選手なのは十分分かっている。しかし、このままでは普通の選手だ。代表クラスのクオリティを追求してほしい。実にもったいない。
ディフェンス陣のイージーミス
もうひとつ落胆させられたのは、ディフェンス陣からの小さなミス。特に高山の精彩を欠いたプレーが気になった。
アカデミー出身者が思いを一つにしてもぎ取った勝利を繋げていくためにも重要な一戦へ臨む。https://t.co/C0loDPAPsp #ardija @Ardija_Official #高山和真 pic.twitter.com/BJTBUalbo1
— Jリーグ公認ファンサイトJ’s GOAL (@jsgoal) 2017年5月2日
もちろん、良いところもあった。ハイボールの処理対応は安定しており、CBとして素晴らしいプレーを何度も魅せてくれた。
しかし、そんなプレーを帳消しにしてしまう、くだらないミスが多すぎた。何でもないパスをフィールド外へ出してしまったりしていては、攻撃のスイッチはいつまでも入らない。
大宮の課題は攻守の切り替えが遅いこと。ビルドアップから精彩を欠いていては、この苦しい状況を脱するのは難しい。
結婚をし、子どもにも恵まれ、大きな責任を背負うことになった高山。最後の詰めが甘いと自分の守るべきものも守れなくなる。
このままでは上に這い上がれない。大宮の下部組織出身者として、死に物狂いで戦ってほしい。彼なら絶対にできるはずだ。信じている。

サポーターの気持ちとリンクするように時間の経過とともに晴天から曇天に。
危機感を抱き戦い続ける渋谷監督
ここで魂を込めたプレーを継続できないのなら、また同じ過ちを繰り返すのではないか。そんな危機感を最も抱いていたのは他ならない渋谷監督だったはず。
ハーフタイム中、ロッカールームでは一体どんな言葉で選手たちを鼓舞していたのだろうか。仙台の選手たちは全員ピッチに現れているのに、大宮はいつになく出てくるのが遅かった。第四の審判がしびれを切らして大宮の選手たちに催促するシーンは実に印象的だった。
今日の負けは絶対に忘れないでくれ。絶対に次は勝利する。
ルヴァンカップの予選。予選突破が難しい状況。高いモチベーションを保つのは難しい試合だったかもしれないが、少なくとも渋谷監督は必死だっと想像する。
今日のまとめ
大宮のサポーターは優しい。その優しさが個人的にチームの魅力であると思える時がある。しかし、その優しさは時に勝者のメンタリティとは程遠いと指摘されもする。
先日、SSCナポリ戦でとんでもない凡ミスを犯した長友はTwitterでこんなことを言っている。
イタリアでは、良ければ神様かのように賞賛され、悪ければ犯罪者かのように批判、罵倒される。
そこに人としてのモラル、リスペクトはない。
限られた人しか経験できないこの厳しい環境で、仕事ができることに誇りを感じる。
ここにきて7年。
全てが自分の大きな財産となって未来へ繋がる。— Yuto Nagatomo | 長友佑都 (@YutoNagatomo5) 2017年5月2日
決して命取りになるような試合ではなかったかもしれない。だが、一戦一戦、生きるか死ぬかギリギリのところでゲームをしなければ上位定着などありえない。
ましてや今年は残留できるか否かの瀬戸際なのだ。今すぐ目を覚ましてほしい。札幌戦は、戦う姿勢を見せるしかない。
日和見主義のサッカーなら、大宮に未来はない。