PK戦突入時の段取り
少年サッカーのお父さん審判が、きっと一番緊張するであろう、延長PK戦。
一方、初心者審判にとっては、ものすごく緊張する一瞬です。回数をこなしていないとPK戦を経験することもあまりないですし、できれば突入しないでーなんて心のなかで思いながらジャッジしたことは、誰にだって経験はあるでしょう。
だって、普段、なかなか経験できないですし、誰も教えてくれません。段取りがわからないというのが、一番困りますよね。でも、一度やってみるとそんなに難しくはないです。PK戦がある一戦の前には、必ず大まかな段取りを確認しておくことをおすすめします。
PK戦突入までの主審の段取り
おおまかな段取りは次のとおりになるかと思います。
- 試合終了時の笛を吹く。
- 両チームキャプテンに残ってもらう。
- 他のプレイヤーはベンチへ移動させ、給水させる。
- 残ったキャプテン同士、コイントスで先攻後攻を決める
- 副審の役割(サークルまたはゴールライン上に立つ人)を決める。
- PKを行う場所を決める。
- 両チーム並ばせる
- 主審、副審、GKの位置を確認し、定位置につく
- PKを始める。
- PK終了の笛を吹く。
以上です。
試合終了時の笛
Whistle blower / Photocapy
サッカー競技規則を読む限り、特に決められた笛の吹き方はないようですが、PK戦突入時にはハーフタイム時と同じように、ピッ、ピーッと2回吹くのが基本のようです。3回吹くと試合終了時みたいなので、2回にしておいたほうがPK戦がある感じがして高揚しますよね、観客も。そんな理由から笛は2回だと言われています。
コイントスを行う
両チームのキャプテンに残ってもらいコイントスを行います。コイントスは、勝ったほうが先攻後攻を選べます。
主審はコイントスし、トスに勝った主将のチームが先にけるか後にけるかを決めるサッカー競技規則
コイントスに買ったほうが先攻というわけではありませんので、ここは注意が必要です。この間、他のプレイヤーはベンチに戻して給水をしててもらいましょう。その間に蹴る順番も決めてくれるはずです。
The Coin Toss / John Kratz
副審の役割を決める
ゴールエリアとゴールラインの交差地点に立って判定をする副審と、センターサークル内でキッカー以外のフィールドプレイヤーをコントロールする副審を決定します。この時、私は、ゴールライン上に立つ副審は、キッカーがボールを蹴る前にGKがゴールライン上よりも前に出ていないかを確認するようお願いしておきます。
ゴールライン上を横に動くのは反則ではありませんが、慣れていないお父さん審判の方がこれを勘違いすることがまれにあるからです。事前にそうでないことを確認しておけば、重大なミスを減らすことができます。
キックする前に、GKがゴールラインよりも前に出た場合は、副審に旗を背後に隠すようお願いしましょう。GKの反則を確認できた時、キッカーがゴールを外した際は、もう一度、PKをやり直しさせます。ゴールした場合は、そのままゴールを認めます。
得点に絡む重要なジャッジを担当するわけですから、副審の担当を決定する際には、慣れている副審の方にゴールライン上に立つよう指示するのが良さそうです。
一方、センターサークル内に残る副審は、キッカー以外のプレイヤーがセンターサークル内にいるように指示します。この時、センターマークから近い方に蹴る順番で並んでもらったほうがコントロールしやすいです。ま、プレーヤーは分かっていますが…。
#sunset #soccer #sports #missouri #goal #team / Todd Chandler
PKを行うゴールを決める
基本的にはキーパーのことを優先的に考えてPK戦を行う場所を決定するのが良いでしょう。
キーパーから見て太陽が目に入るようでしたら、逆のゴールで…というように。逆光で守りにくいとキーパーが少し可愛そうです。また、少年サッカーの場合、ギャラリーが多いゴール側を避けて、キッカーも集中しやすい方のゴールを選んであげることもあります。
両チームをセンターサークル内に並ばせる
この仕事は、センターサークル内に残る副審が担当します。キックする順番にならんでねー、と両チームに声をかけてあげれば、ほとんどの場合、キレイに整頓してくれます。
PKを開始する
まずは、主審と副審の位置を確認。次に、GKの位置を副審が確認します。キッカーがボールを蹴るまでは、ゴールライン上にいなければなりません。
ゴールライン上で横に動く分には問題ありませんよ。

2013年大宮対G大阪戦。天皇杯でのPK戦シーン。すべてが正しい位置取りで行われている
位置取りは分かっているつもりでも、細かく確認したほうが良いです。この位置取りが違っていると、ベンチ側やギャラリーとしては「大丈夫か、あの審判…」と思われてしまうからです。
また、キックをさせる前に次の2点を必ず確認します。
- 主審はキッカーの背番号チェック
- ボールがペナルティーマーク上に正しく置かれたか
特に後者は、主審の位置からボールが正しく置かれているかを確認できていても、わざわざ歩いて近づき、ボールの位置を確認することをおすすめします。この方がベンチやギャラリーも「きちんと見てくれる審判だ」と感じてくれるため、周囲からの信頼度が高まります。
PK戦の記録をとり忘れたり間違えたりしたら大変です。慣れないうちは記録をとることに集中しましょう。
PK戦終了の笛を吹く
PK戦では、主審と副審でサインを送りあい、蹴り終わりと外し終わりを確認します。
たとえば、このキックを入れたらAチームの勝ち…という場合は、主審が副審に向かって、太ももをポンポンと叩くサインを出します。足で入れたら終わり…という風に覚えましょう。逆に、外してしまったら終わりというときは、旨をポンポンと叩くのです。「外したら=胸が緊張する」って覚えておくと良いかもしれません。
ルール規則
最後に、PK戦について、ルール規則に掲載されている項目を要約してまとめておきます。
- 主審は、キックを行うゴールを選ぶ
- 主審はコイントスで、勝った主将のチームに先攻後攻を決定させる
- 主審は、キックの記録をつける
- キックは両チーム交互に行われる
- 両チームが5本キックを行う以前に、他方が5本キックしてもあげることができない得点を一方のチームがあげた場合、以降のキックは行わない
- 5本ずつのキックを行った後、両チームの得点が同じ場合、または両チームとも無得点の場合は、同数のキックで一方のチームが他方より多く得点するまで、交互の順序を変えることなく、キックは続けられる
- PK戦中、ゴールキーパーが負傷し続行が不可能になったときは、交代枠内でのキーパーを交代することができる
- PK戦を行うことができるのは、PK戦突入直前にフィールド内でプレーしていた選手だけ
- PK戦を蹴ることができる選手は、すべて異なる競技者。PK戦が続いている場合はすべての競技者が蹴ることができる。
- PK戦をできる競技者は、GKと入れ替わることができる
- キッカーとGK以外はセンターサークルにいなければならない
- キッカー側のGKは、フィールドの中でキックの行われているペナルティーエリアの外で、ゴールラインとペナルティーエリアの境界線との好天のゴールライン上にいなければならない
- 他に規定されていない限り、競技規則または国際サッカー評議会の決定の関係諸条項がペナルティーマークからのキックが行われるときにも適用される
以上が、PK戦の段取りと心構えです。
とりあえず、この流れがわかっていれば、恥をかくことはないでしょう。