小さいうちから足が速いというのは、その子にとって、とてもとても有利なはずです。
スポーツをやっているなら、なおさら。運動会だって、速く走れた方がいいに決まっています。やっぱり格好いいですしね!
うちの息子がやっているサッカーでいうと、地区の強豪チームでは、ボールを蹴る練習とは別に速く走るための練習メニューをわざわざ取り入れているという話も耳にします。
もちろんサッカーだけではありません。野球、テニス、バスケ…どんなスポーツだって同じこと。足が速ければ運動会でもヒーロー。速く走れるだけで、子供も大きな自信もなります。
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どうしたら速く走れるのか?
では、どうやったら足が速くなるのでしょうか。

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足が速くなるコツや方法は、すでにいろんなサイトで紹介されています。しかし、その方法論や走法はたくさんありますし、どの記事を信じて良いのかよく分かりません。
なかには同じサイトであっても、記事の内容や指導者によっては教えている走り方やコツが違っていることもあるようです。その場合、どれを信じて良いのか迷ってしまいます。
そこで、サイトやYouTube などで紹介されている「速く走るコツや方法」について、ひとつの記事にまとめてみました。
各サイトで紹介されているコツや方法が共通していればいるほど、その方法は信ぴょう性が高い、つまり真髄をついていると思われます。
なお、ここで書いている内容は、小学生以下の子供とその親を対象としています。子供に何を教えれば(子供が何を覚えれば)速く走れるようになるのか、その近道がわかると思います。また100メートル以下の短距離をいかに速く走るかにテーマを絞っています。
速く走るためにおさえておくべきポイントは3つだけ
各種サイトや教本などを調べていくと、速く走るためにいろんなことを教えてくれています。しかし、要点だけをかいつまんでみると、どんな走法であっても動作のポイントは3つに集約できそうです。
逆に言えば、その3つだけを覚えてしまえば、すぐに速く走れるようになるということなのです。
その3つとは…
- 足の動作
- 上半身の姿勢
- 腕の振り方
たったこれだけです。カンタンですね。
市販されている教本や教材などには、○○走法だとか、○○法だとか、それなりのネーミングがつけられています。
けれど、小さい子供に速く走る方法を教えるだけなら、そこまで難しく考える必要はないかもしれません。子供がかえって混乱してしまうでしょうから、ここはシンプルに考えるべきです。
足の動作について
というわけで、まずは「足の動作」についてから。
その前に、足が遅い人と速い人の決定的な違いについて考える必要があります。福島大学教授でもあり、同大学陸上部監督の川本和久氏の言葉を借りるのであれば、(足の)速さというのは、足の回転と歩幅の掛け算である
。
足の回転数は世代によって変わるものではないそうです。全力疾走して、1秒間に4.3歩進むのが人間の限度であり、小学生も、中学生も、高校生も、そしてあのボルトでさえも同じであるという。では、どうすれば足の回転速度が速くなるのでしょうか?

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各種サイトの記事を読み進めるとと、つま先の動かし方と地面の蹴り方について言及したものが多く見受けられます。
速く走るために「つま先」をあげよう
足が速くなるための第一ポイントは、まず意識するのは『つま先をあげること』です。
つま先を上にして走ってみると、自然と足が前にでるようになります。
足にバネがついているような感じで、跳ねるように
「お家で簡単!! 足が速くなる方法」サカイク
つま先で地面を押して反動で進もう
走るとは『地面をつま先で押す→反動で膝が上がる』のくりかえし。
足で地面を押したときの反発エネルギーを使って進むと効果的に速く走れる
「サッカーで速く走るためのポイント(基本フォーム編)」サカイク
かかとでは走らない
かかとが地面に着いていると、次の一歩が遅くなってしまいます。
「サッカーで速く走るためのポイント(実践編)」サカイク
反動で地面を強くけろう
速く走るためには、まず太ももを高く上げなければいけません。太ももをしっかりと前に踏み出し、その反動で地面を強くけります。足の遅い人は、地面に足の裏を全て付けてしまいますが、足の速い人はつま先とかかとしか付きません。
「短期間で足が速くなるには 短距離編」足が速くなる方法研究会
つま先でリズミカルに
ばたばた走らず、音を立てないように滑るように走る
加速後はつま先で接地して勢いを殺さないようにリズミカルに走る
「誰より速く走れるフォームはこれだ!すぐに掴めるコツと筋トレ方法も」NO LOVE, NO TEAM
土踏まずで走らない
地面に最初に着くのは足の土踏まずよりも
前の部分となるように
「速く走るためのワンポイントアドバイス」アキレス俊足クラブ
最初は小刻みに走って加速しよう
スムーズに加速するためには、
スタート直後には多少短めのストライドで、
ピッチをあげて小刻みに走ります
「スタート後、スムーズに加速するために」アキレス俊足クラブ
ポンピュンランで走ろう
背骨と骨盤を一直線に足を振り降ろす。
これにより理想的な反発力が得られて足の回転数が上がる
後ろのひざが、前のひざを速く追い越す(イメージ)
福島大学教授・同大学陸上部監督川本和久氏
母指球で走ろう
足の親指の母指球(親指の付け根部分)を使って走る
元オリンピック選手 為末大氏の理論
サカイクというサイトには、足が速くなる方法についていくつか記事をアップしていますが、その方法については記者や論じている専門家についてその方法論やニュアンスがまったく違うものが見受けられていました。しかし、足が速くなるための動作について共通して言えるのは、次の二点に集約されています。
- つま先を使って走る
- 地面から得る反発力を意識する
つま先で走るよう指導すると理解されやすいかもしれませんね。
こうした動作が速く走れることを裏付けるように、DESCENTE(デサント) パワーフィンガー DAT-9610Aという商品が発売されていますし、伊藤家の食卓で紹介されていた裏技をまとめた書籍続続続・伊東家の食卓裏ワザ大全集〈2002年版〉
では、こんな裏技も紹介されています。
上半身の姿勢について
次に走る際の上半身についてです。ちょっと自分で考えてみればわかりますが、猫背やエビ反りでは速く走ることはできないようです。
背筋をピンと伸ばして走ろう
スタートは転ぶ寸前まで体重をかける
走るときは背筋をピンと伸ばす元オリンピック選手 為末大氏の理論
おしりは出さずに…
上半身が斜めになることで、自然に足が前に出てくるようになります。
ただし、おしりを出さないことです。
「お家で簡単!! 足が速くなる方法」サカイク
カラダを前に45度倒して走る
身体を倒す角度は地面に対し45°
猫背では地面からの力を十分に吸収、発揮できない
「サッカーで速く走るためのポイント(実践編)」サカイク
アゴは上げない
あごが上がってしまうとタイムが落ちる
「走るためのヒント」子供の体力向上ホームページ
小さい歩幅で加速
身体を前傾させず、小さい歩幅で強く加速する
「誰より速く走れるフォームはこれだ!すぐに掴めるコツと筋トレ方法も」NO LOVE, NO TEAM
最後に紹介したサイトでは、身体を前傾させず
とありましたが、その他はすべて前傾姿勢になることをポイントとしています。しかも体の線(背骨)はまっすぐ。猫背やエビ反りになった姿勢では、地面からの反発力を分散させてしまうため速く走れなくなるようです。
腕の振り方について
最後は腕の振り方についてです。何となくどうすべきかは想像つくのですが、念の為に専門家の理論を比較してみましょう。
脇を締めてまっすぐ振る
手をあごの高さまで上げ、脇を締めてまっすぐに振る
(手のひらは)ゆでたまごを割らないように握るイメージ
元オリンピック選手 為末大氏の理論
思いっきり腕を振って身体も腰も動かす
思い切り腕を振ると身体も腰も動くようになります。
「お家で簡単!! 足が速くなる方法」サカイク
手を横に振らない
手を横に振ったり(いわゆる女の子走り)、手をグルグル回したりしながら走る子もいます。
ついつい腕に着目して腕の振りを直そうとしますが、手が正しく前後に振れないのは、身体のバランスが悪いから。片方に傾く身体を、腕の反動で戻そうとしているだけなのです。
速く走るためには、手の力を抜くことも大切です。
「サッカーで速く走るためのポイント(実践編)」サカイク
手のひらは軽くパーにする
ひじをしっかり後ろにひく。
手のひらは軽くパーにして、肩に力が入らないようにする
「速く走るために覚えたい3つのコツ」サカイク
体の軸がブレなければ良い
腕がまっすぐではなくて、斜めになってしまっても大丈夫です。大切なことは体の軸がぶれないこと。脚の動きよりも、腕の振りに意識を集中させてください。走っているときの両手は、グーでも、チョキでも、パーでも、力んでいなければ、いずれでも構わない
「すぐに、誰でも、簡単に!」サカイク
とにかく腕を振る
うでをしっかりふって走ろう!
「走るためのヒント」子供の体力向上ホームページ
ひじを直角にまげて力を入れない
肘を直角に曲げてしっかりと腕を振ります。
そのときに、力を入れすぎないことが重要なポイント
「短期間で足が速くなるには」足が速くなる方法研究会
腕は前後に振ろう
(女の子に多くみられるように)横に振るのは良くない。
腕が前後に振られていれば、走るときに真っ直ぐに進むのを助けてくれます。走るスピードにつながる効果的な腕振りのためには、手や肩にあまりチカラを入れず、自然な形で
「速く走るためのワンポイントアドバイス」アキレス俊足クラブ
各記事に共通するのは、以下のとおり。
- 手のひらの力を抜くこと
- 前後にしっかり腕を振ること
さらに上記サイトの記事をすべて読んで感じたのは、体の軸がブレると前の推進力が分散してしまうということ。これを防ぐには脇を閉めて(というよりも開かないようにして)肘を伸ばさずに振るのが理想であるようです。
ミズノが開発したダッシュドライバーゼグーなら足が速くなる
これらの理論上は大人だとわかりますが、これらを子供に教えるのが大変なのです。
そこで、こんないいものもあります。その名も…ダッシュドライバーゼクー!
センサーが埋め込まれていて、腕を正しく振るたびにサイボーグのようなかっこいい音が出る仕組みになっています。腕が振れていないと音が鳴らなかったり、逆にちゃんと振れるほど音が変化していくので、子供が喜びます。あれこれ親が教えるより、ずっとスピーディに足が速くなりますよ。
速く走るためのまとめ
手前味噌になりますが、この記事を描いている筆者も子供の頃は俊足でした。
毎年リレーの選手に必ず選ばれていましたし、市の陸上大会の代表選手でもありました。
速く走れるようになったきっかけは、今でも覚えています。
足の速い友達から教えてもらった次の言葉です。
手のひらをグーにしないで広げる。
大きく前後に振り、地面にかかとをつけず、つま先で走ること。
この二点を意識するよう教えてもらってから、いつも走ることだけはいつも一番でした。
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当時、手のひらをグーにしないのは風の抵抗をなくすためだと思い込んでいましたが、肩の力を抜いてつま先で走ることで足が上がりやすくなり速く走れていたのだと思います。
腕の振り方は特に重要です。脇を閉めて肘を曲げる。そして、走る方向に振れていないと、前進しようとする力が拡散してしまいます。
まっすぐ腕を振る。手のひらはリラックスする。つま先で走ることによって、バネを感じながら速く走ることができる。つまりそういうことなのかもしれません。
ボルトが教えてくれた速く走る秘訣
ちなみに、足が速くなるコツをボルトが2017年9月24日付の朝日新聞でこう語っています。
たくさん体幹を鍛えろ、かな。 特に復帰の辺りと背中回りは大事だ。 そこを強化していければ、故障しなくなったり、 走りが安定したり、より多くの技術的な練習ができるようになるよ。
とはいえ、こんなことも発言しています。
全てはトレーニングだよ。 自分も初めて競技場に行ったときは勝てなかった。 その時にコーチに言われたよ。 『才能のある人の中で一番努力した人が頂点に立つんだ』って。何が合っても、自分を追い込んで努力しなければならない。
最終的には努力なんですね。
最後に
いろいろ挙げてみましたが、それらを小さな子供がすべてこなせるなんて、僕は思いません。
それより、こどもと親が一緒になって、時間を過ごす(練習する)ことや、走ることは楽しいってことを教えることのほうが大切な気がします。
大人だって得手不得手があるんだし、その子なりに成長できればそれでいいと!とにかく、子供なんかすぐに大きくなって巣立っていくんだから、今の時間を大切にするのが一番です。
速く走るためのオススメ教材
下記の教材はわかりやすくて、理論にも説得力がありました。